2025年12月23日(火)に資産形成学生論文アワード2025表彰式を東証Arrowsにおいて挙行しました。アワード受賞者、審査員、後援者、事務局(投資信託協会)など約30名が参加しました。

表彰式においてはまず、松下会長より概要以下の祝辞がありました。
≪松下会長 祝辞≫

- 松下会長
資産形成学生論文アワードは今回が3回目の開催です。資産形成の重要性は益々高まりつつあります。高校における金融教育の充実や、2024年から新NISAが開始するなど、資産形成は皆さんの生活において更に身近なものとなってきています。こうした中、若い世代の方々に投資について前向きに考える論文を通じて、社会に新たな視点を届けて欲しいという思いから本アワードを実施しています。
今回の応募論文はいずれも質が高く、審査員の先生も大変悩んだと聞いています。この場を借りて改めて審査に感謝します。授賞論文には学生ならではの柔軟な発想があり、深い分析が光っていました。受賞者の努力と情熱に敬意を表します。
投資の基本は、「長期、積立、分散」と言われます。この中で、学生の皆さんは「長期」という点において優位性を持っています。時間という大きな味方を活かし、「積立」と「分散」を組み合わせることで、預貯金を上回る成果が期待できます。我々の学生時代にはNISAもなければ、携帯電話も、ポケベルすらありませんでした。一方、現在は情報が多くあります。それにもかかわらず、日本の個人金融資産は預貯金に偏重しており、今後インフレが進行すると、資産価値が損なわれる可能性を秘めています。
最近ではNISAでの積立などを通じて若い世代の投資参加が広がっており、皆さんのような柔軟な発想を持つ世代が、投資に対する社会の考え方を変えていくと確信しています。特に、受賞者の方々はその先頭に立つ存在であり、是非、周囲の友人や家族から草の根改革として資産運用の意義を伝えて欲しいと思います。
受賞者の皆さんの今後益々の活躍を期待します。この度は受賞、誠におめでとうございます。
その後、受賞者を代表して優秀賞の池ヶ谷真希さんより概要以下のスピーチがありました。

- 池ヶ谷さん
本日はこのような素敵な場にお招きいただき有難うございます。本日この場に立てたことを嬉しく思います。まず、論文の審査・講評をしていただいた方々を始め、アワード開催に携わる全ての関係者に感謝します。また、私の論文は投資信託協会から提供を受けた個票データを使用しており、貴重な機会をいただき御礼申し上げます。
私がアワードに応募したきっかけについて話します。私は4月から資産運用に関連したテーマで執筆するべく卒業論文の準備をしてきました。私のゼミでは回帰分析を用いることが必須条件であり、分析には多くのデータを使用する必要があるものの、先行研究で利用されている大規模アンケート調査は学生にとっては貴重で簡単に利用できるものではなく、再現性が低いという課題がありました。そうした中、ゼミの指導教授から、投資信託協会が個票データを提供していると聞き、アワードへの挑戦を決心しました。卒業論文の締め切りは1月ですが、アワードの締め切りは9月であり、4か月前倒しで論文を執筆することには困難もあるものの、個票データを利用した貴重な分析が可能で、卒業論文執筆にも余裕を持てると考えたためです。
今回私は優秀賞を受賞しましたが、仮に受賞が叶わなかったとしても、個票データを利用した有意義な分析ができたことや周囲の学生よりも余裕をもって卒業論文を書き上げることが出来たことなどから、挑戦して良かったと心から思います。
今後論文を執筆する機会があれば、今回のように多少の困難があり、覚悟が必要な場合であっても、逃げずに向き合い、チャンスを掴む姿勢を続けられるよう精進していきます。また、今後の論文アワードにどのような論文が入賞するか楽しみにしています。
改めまして本日は有難うございます。
最後に、野村證券金融工学センターの大庭審査委員長より概要以下の総評がありました。
≪審査委員長 総評≫

- 大庭審査委員長(野村證券金融工学研究センター)
本アワードの趣旨は、大学生の皆さんに、未来に繋がる資産形成の論文を執筆して貰いたいということであり、その意味で今年は大変良い論文が集まったと思います。その中から優秀賞2編、佳作1編、奨励賞1編、アイデア賞1編の計5編を表彰しました。
優秀賞の1編は池ヶ谷さんによるもので、投資信託協会が例年実施している「投資に関する1万人アンケート」のデータを使用し、資産運用に対する意識の高さが投資にポジティブな影響があることを回帰分析により検証したものです。単なる金融知識よりも、意識が影響すると分かったことが興味深い点です。審査員から改善点の指摘もありましたが、総合的には高く評価され優秀賞となりました。
優秀賞のもう1編は松田さんによるもので、NISA利用の非課税口座と課税口座を使い分ける方法の最適化を定式化して、実際にシミュレーションをし、どの程度の差が生じるか、いかなる方法が最適か検討しました。結果として、課税口座よりも非課税口座でリスクを取った方が良いという、直感的にも良いと感じる戦略が有意であることを数字で検証した点に新規性がありました。審査員の評価が分かれる点もありましたが、総合的には高い評価であり、優秀賞となりました。
佳作の浦部さんは、トランプ関税発表というイベントに注目して、この際に多く出た記事について楽観的か悲観的か感情スコアとして数値化して、これが株式市場にどのような影響を与えているか検証しました。データが1つのイベントについてだけであり、少ないという問題はありましたが、感情スコアを使用した分析にはテーマに広がりがあると評価され、佳作となりました。
奨励賞の村瀬さんは、なぜ若者が今投資をすべきなのかという根本的な問題について、「自由、責任、公共性」の観点から法哲学的に検討し、その上で政策の提言まで行いました。テーマ自体が新鮮ですが、発展の余地も大きいということで、奨励賞となりました。
最後に、アイデア賞の松岡さんは、3種類の生成AIに将来成長する産業、更に銘柄を選定させ、結果を比較するユニークなものでした。生成AIの利用は現在進行していますが、こうした研究が広がっていくことを期待してアイデア賞としました。
以上5編の他にも多様な論文が応募されていて、若い方々の資産形成への関心は非常に高まっていると認識しています。今後も本アワード等を契機として、若い方々が資産形成に係る研究に一層興味を持っていただけることを審査員一同期待しています。本日はおめでとうございます。
投資信託協会は日本投資顧問業協会と合併し、本年4月より資産運用業協会となりますが、今後も資産形成学生論文アワードを継続する予定であり、投資による資産形成の在り方について若い世代に考えていただき、力作が応募されることを期待しております。
懇親会の様子(於 東証ホール)
上段(左から):杉江副会長、村瀬さん、松岡さん、菱田副会長(三井住友トラスト・アセットマネジメント取締役)
