会長挨拶

 投資信託協会長として2期目を務めることとなりました松谷博司でございます。新体制で協会運営を行なっていくにあたり、協会長としてひと言ご挨拶申し上げます。

 投資信託協会は、昨年11月、日本投資顧問業協会と共同で「資産運用業宣言2020」を公表致しました。資産運用業の社会的な使命として、大きく2つの面で社会課題の解決に貢献することを目指し、業界としての自らの決意を表明するものです。

  1つは「一般の生活者の方々の資産形成」への貢献です。近年、若い世代を中心に「投資による資産形成」への関心・ニーズが高まり、ようやく実際の行動に移される方も増えてきました。ただし、過去にもこういった兆しが見えた時期はあったものの、様々な要因により結果的には大きなうねりとなることはありませんでした。今回こそはこの動きを社会全体の動きに繋げるために、業界を上げて全力で取り組む必要があると考えています。

 確かに、日本の公的年金は諸外国の中でも比較的充実しています。また、それぞれご事情は違うと思いますが、高度成長期も経験されたリタイア層の方々を中心に、全体としては一定程度、金融資産が形成されています。先日、公表された日銀の統計でも個人金融資産は1,946兆円と過去最高を更新しました。

 しかし、今後の日本の人口動態を見据えると大きく状況は違ってきます。よく「2040年問題」と言われますが、人口の大きな塊である団塊ジュニア世代、現在47歳から5152歳の方々がリタイアの時期を迎える、今から19年後の2040年に様々な社会問題が生じてきます。もちろん、各種要因が複層的に重なっているため、金融だけで解決できるものではありませんが、我が国が引き続き「豊かで安定した社会」であるためには、できるだけ多くの人が若いときから時間を味方につけて、自分自身で金融資産を形成してゆくことが、今まで以上に重要な要素となってきます。資産形成には長い時間がかかることを考えると、今がまさに大切な時期となります。

 もう一つの資産運用業としての社会的使命は「持続可能な社会の実現」への貢献です。ESG投資、サステナブルファイナンスは、世界のお金の流れを変える可能性があります。現在、その定義や開示について、欧米を中心に議論が進んでいますが、日本としても積極的かつ主体的に関与することが大切だと考えています。協会としても様々なグローバルな会議での議論に積極的に参加してゆきます。

 資産運用業全体として皆様からお預かりしている資産は既に500兆円を超えます。国内総生産(GDP)並みの規模であり、企業などの投資先に対しても大きな影響力を持ち始めています。コーポレートガバナンスコードの改訂などとも相まって、投資先をモニタリングしながら積極的な対話を進め、時には改善のための提案を行なうなど、「持続可能な社会の実現」に向け、我々資産運用会社の社会的役割および責任は極めて大きいことを一層自覚し、行動して参ります。このことも、社会全体の動きとするためには、人々の関心が集まり始めた、今がまさに大切時期となります。

 そういった強い想いを持って、この5月、当協会に設置している研究会「すべての人に世界の成長を届ける研究会~長期・分散・積立による資産形成を実際の行動に~(通称:つみけん)」の報告書の中で、「2041年の資産形成のありたい姿」を描き、それを数値化した「5つのつみけんTargets」などを公表しました。「資産形成のありたい姿や目標」を示すことで、資産形成を行う主体となる個人の皆様、それを支援する金融機関やアドバイザー、あるいは国など、それぞれが「自分たちは何をすべきか」を考え、実際の行動に移し、社会全体での動きとなる契機となればと思います。我々資産運用業界としては、自らがその先頭に立って、行動に移していきたいと思います。

 「人々の資産形成と持続可能な社会の発展」という資産運用業の大きな社会的使命を果たすため、微力ではございますが、横川副会長、中野副会長、並びに杉江副会長の全面的な協力を得て、業界一丸となって全力で取り組む所存です。どうぞご支援のほど宜しくお願い申し上げます。

                               令和3630
                               一般社団法人 投資信託協会
                               会長 松谷博司