会長挨拶

 投資信託・投資法人に対する皆さまのご理解とご支援にあらためて感謝申し上げます。

 2024年は新NISA元年として、我が国の資産運用業界において永く記憶される年になるのではないでしょうか。

 おかげさまで昨年11月末現在、投資信託の純資産総額は約372兆円となり、1年前の202311月末と比較すると約50兆円の増加となりました。政府の強いリーダーシップにより導入された新NISAが大きな起爆剤になったことは言うまでもないと思います。特に「つみたてNISA」には安定的な資金流入が見られました。言われて久しい「貯蓄から投資へ」が、ようやく実現しつつあります。
 
 しかし、家計金融資産に占める投資信託の比率を主要国で見ると、日本は前年より1%増加し5.8%となりましたが、米国の12.8%やユーロ圏の10.6%と比較するとまだ半分程度です。そして日本の家計金融資産に占める現預金の比率が未だに50%超となっており、世界でも稀に見る数値が続いています。そういう意味でも日本の投資信託の残高はまだ伸びる余地が十分にあると思います。

 こうした中、我々投資信託協会としての課題は、政府が掲げる資産運用立国の実現に向け、家計金融資産の運用を担う資産運用業及びアセットオーナーシップの改革並びに資産運用業への国内外からの新規参入及び競争の促進等を喚起し、成長と分配の好循環を実現し、我が国経済の成長と国民の資産所得を増加させることです。

 その資産形成のために国が後押しするNISAiDeCo等の税制優遇制度は是非活用していただきたいと考えますが、NISA口座数は20249月末現在で2500万口座余りと18歳以上の国民の未だ四分の一程度です。投資信託協会として引き続きその普及や促進に尽力したいと考えています。

 そして重要なこととして資産運用の王道は長期・積立・分散です。短期的な相場の上下に一喜一憂するのではなく、長い目でご自身の資産形成に取り組んでいただければと思います。

 日本経済は戦後の復興から平成バブル、ITバブル、リーマンショック、東日本大震災等、幾多の苦難を乗り越えて世界経済の発展とともに今に至っています。今現在も紛争は起こっています。これからも世界中で同様の困難が待ち受けているかもしれません。しかし今まで同様、人類は必ずや困難に打ち克って前に進む解決策を見出すはずです。

 繰り返しになりますが、短期的な上下に一喜一憂するのではなく、長い目でご自身の資産形成に取り組んでいただければと思います。

 我々投資信託協会も資産形成の普及・促進と輝かしい未来の実現に向け、引き続き全力を尽くして参ります。

 今年も変わらぬご支援の程をよろしくお願い申し上げます。

2025年1月1日
一般社団法人 投資信託協会
会長 松下 浩一