会長挨拶

 投資信託協会長に就任いたしました松下浩一でございます。日頃より投資信託・投資法人に対するご理解とご愛顧を賜りまして、深く感謝を申し上げます。
 2022年末には、新しい資本主義実現会議により「資産所得倍増プラン」が取りまとめられ、また、その後の税制改正大綱において、資産運用業界として強く要望してきたNISA制度の抜本的拡充・恒久化が盛り込まれるなど、2022年は資産運用業界の発展のための追い風が吹いた年でありました。 
 こうした変革期にある資産運用業界において、政府の掲げる「資産運用立国」の実現をバックアップすべく、資産運用ビジネスの環境整備に全力を尽くして参る所存です。

 日本では家計金融資産約2,000兆円のうち半数超が現預金に滞留しており、また協会が例年実施しているアンケート調査によりますと、投資信託を「今まで保有したことがない」という方が、64%いらっしゃいます。他方で、投資信託の現在保有層、特に20代においては、積立投資の利用率が86%に上るなど、投資信託の普及は道半ばであるものの、投資への意識・潮流が変化しつつあるとも云えます。
 このような状況下、当協会でも近年力を入れているセミナー開催や教育コンテンツ提供などの投資信託等の普及・啓発活動には引き続き注力して参ります。学生や社会人問わず、全世代に対して資産運用の本質を伝えていきたいと考えておりますが、金融教育の観点から、教育現場のバックアップには特に尽力して参ります。また、企業の社員向けの金融教育や職場を通じた資産形成の更なる促進を含め、「資産所得倍増プラン」で打ち出された「金融経済教育推進機構(2024年創設予定)」にも積極的に参画する予定です。

 「資産運用宣言2020」に掲げているとおり、資産運用会社の社会的使命は「皆さまの安定的な資産形成に向けて最善を尽くすと共に、そのための投資活動を通じて社会課題の解決を図り、皆さまの豊かな暮らしと持続可能な社会の実現に貢献すること」です。こうした重要な社会的使命を担っていることを広く認知して頂くべく、上記のような啓発・普及活動に加え、資産運用業界のプレゼンス向上に向けた取組みも強化して参りたいと考えております。また、当協会の政策提言能力向上にも引き続き注力して参ります。

 最後になりますが、投資信託協会の重要な責務の一つが、自主規制業務です。政策面・制度面での追い風の中、投資信託・投資法人の重責は益々増しています。業界の社会的使命を果たしていくためには会員各社における顧客本位の適切な業務運営が必要不可欠です。
 資産運用業の安定的、健全な発展に向けて、協会長としての責務を全うしていく所存ですので、関係各位のご支援、ご指導を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

一般社団法人 投資信託協会
会長 松下 浩一