会長挨拶

 投資信託・投資法人に対する皆さまのご理解とご支援にあらためて感謝申し上げます。

 おかげさまで昨年は11月現在、投資信託の純資産総額は約323兆円と過去最高を更新しました。これもひとえに投資していただいている皆様のおかげであると感じております。2013年のこの数字は128兆円でしたから、10年間で投資信託は約2.5倍増えたことになります。この間、名目GDP508兆円から588兆円に増加しただけですから、投資信託の伸びは顕著でした。

 一方、家計金融資産に占める投資信託の比率を主要国で見ると、日本が4.7%で米国の11.9%やユーロ圏の10.1%と比較すると半分にも満たない状況です。そういう意味でも日本の投資信託の残高はまだ伸びる余地が十分にあると思います。また日本の家計金融資産に占める現預金の比率が50%超と世界でも稀に見る数値が長年続いています。

 こうした中、昨年末には政府が掲げる資産運用立国の実現に向けた政策プランが公表されました。この政策プランは、家計金融資産の運用を担う資産運用業及びアセットオーナーシップの改革並びに資産運用業への国内外からの新規参入及び競争の促進等を内容とするものであり、成長と分配の好循環を実現し、我が国経済の成長と国民の資産所得を増加させる重要な施策が取りまとめられています。

 投資信託協会としては、資産運用立国に関する基本的な考え方をとりまとめ、HP上で発表すると同時に各種会議体で説明するなど、政策プランの議論に積極的に参加してまいりました。

 そして今年から新しいNISAが始まりました。国が後押しする税制優遇制度は是非活用していただきたいと考えますが、資産運用の王道は長期積立分散です。短期的な相場の上下に一喜一憂するのではなく、長い目でご自身の資産形成に取り組んでいただければと思います。

 日本経済は戦後の復興から平成バブル、ITバブル、リーマンショック、東日本大震災等、幾多の苦難を乗り越えて世界経済の発展とともに今に至っています。今現在も紛争は起こっています。これからも世界中で同様の困難が待ち受けているかもしれません。しかし今まで同様、人類は必ずや困難に打ち克って前に進む解決策を見出すはずです。

 繰り返しになりますが、短期的な上下に一喜一憂するのではなく、長い目でご自身の資産形成に取り組んでいただければと思います。

 我々投資信託協会も資産形成の普及・促進と輝かしい未来の実現に向け、引き続き全力を尽くして参ります。

 今年も変わらぬご支援の程をよろしくお願い申し上げます。

令和6年1月1日
一般社団法人 投資信託協会
会長 松下 浩一