会長挨拶

会長挨拶

会長

 投資信託協会長の岩崎俊博でございます。
日頃より投資信託・投資法人に対するご理解とご愛顧を賜りまして、深く感謝を申し上げます。

 私は、これまでの職業人生を通じ、証券会社での個人投資家・法人投資家の皆さまとのお取引を始めとし、金融商品の企画開発、信託銀行業務、アセットマネジメント、シンクタンク、中国との合弁事業など、金融業におけるさまざまな業務を経験してまいりました。これらの経験を経て、今痛感していることは、「貯蓄から資産形成へ」という流れをさらに促進していくことが、今の我が国の超成熟社会の中で、非常に重要な喫緊の課題であるということです。

 我が国の個人金融資産1800兆円は、戦後の復興期から始まり、高度成長期やバブルの時代を経ながら、国民の皆さまが営々と築きあげてきたものだと考えています。現在、日本社会の成熟化がますます進んでいく中で、国民の皆さまが充実した生活を続けていくためにも、金融資産をより活きた形で活用していくことが必要な時代に入っていると思います。そしてそのことが、より活力のある資金循環を生み、日本経済の発展に寄与し、ひいては国民の厚生の増大をもたらしていくと考えています。

 これまで「金融ビックバン」から約20年が経ち、投資信託の普及もこれまでそれなりに進んできたと見ています。我が国の公募投資信託の残高は、バブル期のピークの1989年には約58兆円だったものが直近では約100兆円となり、1.7倍の伸びとなりました。しかし一方では、米国のミューチュアル・ファンドの残高は、同じ期間で1兆ドル弱だったものが約17兆ドルとなり、17倍の伸びを示しており、その差は歴然としています。そして、米国でのこの伸びの一番大きな理由は、やはり、401(k)やIRAといった制度による長期・積立投資が非常に幅広く普及したことだと思います。

 現在、我が国では投資信託をこれまで保有されたことのない方が過半であり、国民の皆さまの「資産形成」のツールとしては、さらに普及を進めていくことが必要で、「まず、投資信託を持っていただく」ためのきっかけづくりが急務だと考えています。そうした中で、NISA・iDeCoといった政策も通じ、投資信託・投資法人の制度を活用・発展させていくことが極めて重要なことだと考えています。またそのために、今後、利用者の目線で、もっと利用しやすい制度となるように工夫していくことも大事だと思います。

 また、我が国の資産運用業がグローバルに置かれている状況に目を移すと、「アジア地域ファンドパスポート」(ARFP)の議論が進みつつあるなど、業界のグローバル化が進んでいます。今後、業界団体として各国とのさらなる協力を進めていきます。我が国が人口減少と言う超成熟社会となっていく中、アジアの新興国は、これから経済の大きな成長が期待できる国々であり、これらの国々との協働を進めていくことは、10年後・20年後を考えた場合、我が国の資産運用業にとって非常に重要なことだと思います。

 一方、他の先進国に目を向けると、特に米国では、ETF市場の発達が、資本市場の発展や、より利用しやすい金融商品の開発に大きく寄与していると見ています。ETFは上場金融商品であることからも、取引所の方々と活発に議論させていただき、我が国のETF市場の活性化につなげていきたいと考えています。

 今後、協会長の職務に専念し、当局、業界の皆さまはもちろんのこと、投資家や、これから投資信託の投資を考えられている皆さまともコミュニケーションを密にし、皆さまの声を真摯に受け止めて、投資信託・投資法人制度を発展させていきたいと思います。

 最後となりますが、投資信託協会長として一つ一つ課題を克服し、投資信託・投資法人制度の普及・発展のために全力を尽くす所存でございますので、何とぞ、ご支援、ご助言を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

                             平成29年7月
                             一般社団法人 投資信託協会
                             会 長 岩 崎 俊 博