NISAとiDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)の違い

※2023年末までのNISAを旧NISAとしています。

資産形成に興味がある方であれば、新しいNISAだけでなく、税制優遇を受けられるiDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)にも関心をお持ちではないでしょうか?

iDeCoは国民年金や厚生年金などの公的年金に上乗せされる私的年金制度です。加入は任意ですが、掛金が全額所得控除となるため節税効果が大きいことが特徴です。NISAとiDeCo、どちらを始めたらよいかと悩んでいる方も多いかもしれません。

iDeCoとNISAとの違いを理解してどちらから始めるべきかといった疑問を解消していきましょう。なお、NISAとiDeCoは併用することができるため、両方を始めればさらなる節税効果が期待できます。

iDeCoの主な特徴

iDeCoの最大の特徴は以下の3つの税制優遇があることです。

iDeCoの3つの税制優遇

  • 掛金全額が所得控除の対象となり、所得税・住民税が軽減される
  • 運用で得た収益に税金がかからない
  • 受取時に税金がかかることがあるが、税制優遇が受けられる

NISAもiDeCoも資産形成のための制度ですが、両者は税制優遇の内容や運用期間、資金を引き出せるタイミングなどが異なります。NISAとiDeCoを比較してみましょう。

NISAとiDeCoの比較

横スクロール
  NISA iDeCo
目的 住宅購入、教育資金、将来のための資金など自由 老後資金
投資対象商品 (つみたて投資枠)
長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託(つみたてNISA対象商品と同様)

(成長投資枠)
上場株式・投資信託等(整理・監理銘柄、信託期間20年未満、毎月分配型の投資信託及びデリバティブ取引を用いた一定の投資信託等を除外)
投資信託、定期預金、保険商品
対象年齢 18歳以上 原則20歳以上60歳未満の国民年金加入者
(条件付きで65歳未満も可)
運用の上限額
(拠出の上限額)
1,800万円 年間144,000円~816,000円
(職業や企業年金の有無により異なる)
引き出し可能期間 いつでも可 原則60歳以降
手数料 口座管理手数料:0円
(売買手数料等は別途かかる場合あり)

・加入・移換時手数料 :2,829円(初回のみ)

・国民年金基金連合会手数料 :月額105円(掛金納付の月のみ)

・運営管理機関手数料:金融機関により異なる

・還付手数料(その都度):1,048円

税制優遇 運用益が非課税 ・掛金の全額所得控除
・運用益が非課税
・受取時に公的年金等控除(分割受取の場合)、または退職所得控除(一括受取の場合)の対象になる

NISAは国内在住の18歳以上の方が始められ、いつでも資金を引き出すことができる比較的シンプルな制度です。引き出した資金は教育費や住宅費、老後資金など引き出す目的は問いません。

対してiDeCoは原則20歳以上の国民年金の被保険者などが加入でき、最長65歳まで掛金を拠出できます。老後資金のための年金制度であることから、60歳になるまでは原則引き出すことができません。

NISAの投資額は上限の範囲内でご自身で自由に決められますが、iDeCoの掛金は職業によってかけられる上限(拠出限度額)が異なります。例えば、会社員であれば企業ごとの年金制度がある場合とない場合とでも変わってきます。

職業 年額掛金上限
(カッコ内は月額)
自営業者 年81万6000円(月6万8000円)
会社員(確定給付企業年金に加入) 年14万4000円(月1万2000円)
会社員(企業型確定拠出年金のみに加入) 年24万円(月2万円)
会社員(企業年金なし) 年27万6000円(月2万3000円)
専業主婦(夫) 年27万6000円(月2万3000円)
公務員 年14万4000円(月1万2000円)
  • 企業型DCに加入している会社員は、条件によってはiDeCoに加入できない場合があります。
  • 会社員の拠出限度額は、企業型DCの事業主掛金額との合計額が一定範囲内である必要があるため、実際の上限額は上記と異なることがあります。

詳しくはこちらでも解説しています。

結局、NISAにする?iDeCoにする?

どちらの制度も利益が非課税という大きな特徴があるため、投資をする際には上手に活用したい制度です。

加えて前述どおり、iDeCoはNISAよりも税金の優遇が多いことが最大の特徴です。老後資金が国民年金のみの自営業者の方などはiDeCoの掛金上限が手厚いため、先にiDeCoへの加入を検討することも一案です。

例えば先にiDeCoを始めて、余裕があればNISA口座も開設してみるというのも選択肢の一つです。

一方で、国民年金と企業年金がある会社員などの比較的、老後資金が充実している方はNISAから始めてみるのが良いかもしれません。

会社員もこれまでは企業型確定拠出年金(企業型DC)に加入している方はiDeCoへの加入に制限がありましたが、2022年の制度改正によって、ほとんどの方が入れるようになりました。

なお、iDeCoへの加入で気をつけたい点の1つに加入時期があります。

iDeCoの老齢給付金は最初の掛金を拠出してから10年以上が経過して初めて受け取れます。例えば60歳で受け取るには、50歳未満で加入していなくてはなりません。

加入時期が遅くなれば、それだけ支給年齢が繰り下がります。その点、NISAでは引き出しに制限などはなく、必要な時にいつでも引き出せます。

NISAとiDeCoのどちらから取り組むべきかはご自身の状況によって異なります。ライフプランとも照らし合わせて検討してみてください。