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投資信託なんでもQ&A
気になる100選

基礎知識編

口座開設・購入・運用中の知識 口座開設・購入・運用中の知識

投資信託の口座開設に必要な書類と、購入までどのくらいの時間がかかるか教えてください。

投資信託の購入にあたって、販売会社の取引口座の開設に必要な書類は、次の4つです。
・マイナンバー(個人番号)確認書類
・本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード等)
・販売会社からの送金や配当金等の受取りのための金融機関口座情報
・印鑑(シャチハタ印不可)※オンラインで口座開設を行う場合、不要なケースがあります。

口座開設の流れとしては、店頭やインターネット上で必要事項の記入を行い、必要書類を併せて提出します。その後販売会社の審査を経て口座開設が完了します。

口座開設までにかかる日数は販売会社によって様々であり、約1週間~1ヶ月ほどかかることもあるため、申込みをする際に確認をしましょう。

なお、「NISA」をはじめる場合は、NISA口座の開設が前提となります。一般口座や特定口座で購入した投資信託は、後でNISA口座に移せないため注意しましょう。

NISA口座の開設には、 マイナンバー(個人番号)確認書類、本人確認書類を準備して、申込みをした販売会社に書類を確認してもらい、税務署にNISA口座の開設を申請してもらう必要があります。その後、税務署の審査を経て、NISA口座の開設が完了します。

iDeCoの口座開設に必要な書類と、購入までどのくらいの時間がかかるか教えてください。

iDeCo(個人型確定拠出年金)の口座開設に必要な書類は、次の4つです。
・年金手帳(基礎年金番号)
・掛け金の引き落とし先の口座情報と、金融機関届出印
・印鑑(シャチハタ印不可)
・個人型年金加入申出書

さらに会社員の方は、上記4点に加えて「事業所登録申請書 兼 第2号加入者に係る事業主の証明書」を、公務員(共済組合員)の方は「第2号加入者に係る事業主の証明書(共済組合員用)」を、勤務先に記入してもらう必要があります。この2つの様式をまとめて、「事業主の証明書」といいます。

つまり、会社員の方又は公務員の方は「個人型年金加入申出書」と合わせて、最低2種類の申込書の記入が必要です。自営業者や専業主婦(夫)など、そうでない方は「個人型年金加入申出書」のみを提出しましょう。

申込先にもよりますが、必要書類の提出後、審査完了まで2ヶ月ほどかかります。iDeCoの利用をお考えの場合は、早めに申込み手続きを済ませましょう。

投資信託の口座の種類について教えてください。

投資信託の取引ができる口座は、次の2つがあります。

・特定口座
特定口座とは、投資信託の分配金(普通分配金)や売買によって得られた年間損益を販売会社が計算してくれる口座です。毎年1月中旬以降に「特定口座年間取引報告書」が送付され(販売会社によっては郵送せずホームページ上で確認できる)、手軽に年間損益を確認できます。特定口座には、「源泉徴収あり」「源泉徴収なし」の2種類があります。「源泉徴収あり」の特定口座は、販売会社が税額を計算し、源泉徴収を行ってくれます。「源泉徴収なし」の特定口座を利用している場合は、特定口座年間取引報告書の内容に基づき、投資家自身で確定申告を行い、税金を納める必要があります。

・一般口座
一般口座は特定口座と違い、販売会社が年間損益を計算してくれません。確定申告にあたっては、「取引残高報告書」か運用会社のホームページなどを確認し、投資家自身で年間損益を計算して、必要であれば確定申告を行い税金を納めなければなりません。

投資信託の取引をするなら、特定口座の「源泉徴収あり」を利用するのが一般的です。

投資信託は何時まで申込ができますか。

投資信託をその日の基準価額で購入・換金したい場合、原則的として15時までに申込をしなくてはなりません(ただし、外国証券に主に投資する投資信託の場合は別です。15時までに申し込んだ取引であっても、時差の関係上、一般的に翌日以降の基準価額で取引が行われます)。

投資信託の取引時間は証券取引所と連動しています。もし証券取引所が午後15時で取引が終了するにもかかわらず、15時以降もその日の基準価額で投資信託の取引ができれば、既存の受益者に不利益が生じる可能性があるためです。

投資信託の申込日、取引成立日、受渡日について教えてください。

「申込日」とは、投資信託の売買注文を出した日のことをいいます。売買注文は締め切り時間が決まっており、一般的には15時までに注文をすることで、「申込日」はその日になります。しかし、15時を過ぎると、翌営業日が「申込日」になります。

「取引成立日」は約定日とも呼ばれ、投資信託の売買取引が成立した日のことをいいます。投資信託によって異なりますが、国内資産を投資対象とする投資信託の場合、「取引成立日」は「申込日」と同日になるため、申込日の基準価額で売買取引が成立(約定)します。また、海外資産を投資対象とする投資信託の場合は、時差の関係上、申込日の翌営業日が取引成立日になります。

そのほか、海外の証券市場や金融機関の休業日も影響します。海外の休日事情によっては、投資信託の約定日がずれてしまうケースがあります。海外証券市場等の休業日により取り扱いができなくなる日については、購入先の販売会社のホームページに記載されています。売買取引に先立って、あらかじめ投資信託の「約定日」がいつになるか確認しておきましょう。

「受渡日」とは、売買取引が成立した後、売買代金のやり取りを行う日のことをいいます。投資信託の購入であれば代金の決済を行った日、売却であれば代金を受け取った日が「受渡日」となります。また、入金までに時間がかかるため、約定日の2~5営業日後が受渡日になるケースがほとんどです。投資信託によって受渡日が異なりますので注意しましょう。

投資信託の積立てはいつから開始されますか。またどのような条件設定ができますか。

毎月決まった掛金を積立てることで、少額から投資信託をはじめられるのが「積立投資信託」です。販売会社にもよりますが、積立投資信託の利用を開始すると、最短で「積立設定日の翌日」から積立てが始まります。ただし積立ての開始日は販売会社によって異なるので、あらかじめ確認しておくことをおすすめします。

積立投資信託の積立条件には、「毎日」「毎週」「毎月」の3種類があり、どの積立条件を選べるのかは、販売会社によって異なりますので、購入前にあらかじめ確認しましょう。

積立投資信託は定期的に一定額購入するため、購入するタイミングをその都度考える必要がありません。また、少額で長期的にコツコツ投資することでリスクを軽減することもできるため、投資初心者の方にはおすすめです。

目論見書には何が書いてあるのですか。特にどこを注意して見ればいいですか。

投資信託の運用会社が作成し、販売会社が交付する「投資信託説明書(交付目論見書)」には、「交付目論見書」と「請求書目論見書」の2種類があり、ここでは、投資判断に使われることが多い「交付目論見書」について説明します。

目論見書とは、投資判断に必要な重要事項を説明した書類のことです。販売会社は、投資信託の募集・売出しの際に、目論見書を受益者(投資家)に渡さなければならないと法令で決められており、重要な事項が記載されていますので、購入の前に必ず確認をしましょう。

目論見書には、主に次のような内容がわかりやすく記載されています。
・投資信託の目的・特色
何を目的として、どんな投資先・投資対象に投資しているか。投資信託の仕組みや運用方法はどうなっているか。
・投資のリスク
価格変動リスク、為替変動リスク、金利変動リスクなど、投資信託ごとにどのようなリスクがあるか。
・運用実績
基準価額や純資産総額の推移、分配金の推移、年間収益率の推移など、投資信託の過去の運用実績。(新設の投資信託には実績はありません)
・手続・手数料等
投資信託の購入単位、購入時の手数料、運用中の運用管理費用(信託報酬)、投資信託にかかる税金など、投資信託にかかるコストについて。

目論見書には、こうした項目がわかりやすく記載されているので、投資信託の特徴や目的を簡単に比較することができます。自身の投資目的にあった投資信託を選ぶため、次の2つの観点で、目論見書をしっかり確認しましょう。

・投資信託の流動性を確認比較しましょう
投資資金をすぐに使う可能性がある資金の場合は、「流動性」が高い金融商品を選びましょう。投資信託の場合、換金の申込みをしてから、実際に払い戻しを受けられるまで通常4~5営業日かかります。また、一定期間換金できない「クローズド期間」の制約がある投資信託もあります。MRF(マネーリザーブファンド)やMMF(マネーマネジメントファンド)のように、即日換金できる金融商品もありますが、購入前に確認が必要です(MMFについては現在、円建ては運用なし、外貨建てについても償還が相次いでいますのでご注意ください)。

・安全性と収益性のバランスを確認しましょう
どのくらいリターンが欲しいか、どこまでリスクを許容できるかを事前に考えておきましょう。投資信託には、安全性の高い国内の債券を中心に運用する商品もあれば、デリバティブ(金融派生商品)などを使って積極的な運用を行うものまで、さまざまな種類があります。投資信託が、どのような投資対象に対して投資を行っているか、安全性と収益性のバランスがどうなっているのか、目論見書や運用報告書などで確認しましょう。

運用報告書はいつ交付されるのですか。運用報告書が交付されない場合とはどんな場合ですか。

運用報告書は、原則として投資信託の銘柄の決算日に作成され、受益者(投資家)に交付されます。たとえば、分配金の計算期間が1年間の投資信託であれば、1年ごとに決算を行いますので、運用報告書も1年に1度の決算日に交付されます。なお、法令により、一部の例外を除いて投資信託の計算期間は1年を超えることができません。少なくとも、1年に1度は運用報告書が受益者に交付されます。運用報告書も目論見書と同じように「交付運用報告書」と「運用報告書(全体版)」の2種類があります。通常は、交付運用報告書が受益者(投資家)に配布されます。

毎月決算型(毎月分配型)の投資信託など、計算期間が6ヶ月未満の投資信託の場合は、原則として6ヶ月に1度運用報告書を作成・交付することになっています。毎月決算型の投資信託の場合は、半年に1度のペースで、6期分(1ヶ月を1期とするため)の運用成果を運用報告書に記載します。

運用報告書の交付にはいくつか例外があります。たとえば、MMFは日々決算型の金融商品ですが、運用報告書の作成・交付は1年ごとでもよいと定められています(MMFについては現在、円建ては運用なし、外貨建てについても償還が相次いでいますのでご注意ください)。また、ETFやMRFには運用報告書の作成・交付義務がありません。ただし、運用会社のホームページなどで、ETFやMRFの運用実績を知ることができます。そのほか、一般的な投資信託であっても、受益者があらかじめ運用報告書を受け取らないことに同意している場合、運用報告書が交付されないことがあります。

交付運用報告書は何を見たらいいですか。

交付運用報告書とは、その期に、その投資信託がどのように運用されたかを受益者(投資家)に報告する書類です。

交付運用報告書を読むときは、次の点に注意しましょう。
・その期の運用実績(リスクやリターン)はどうだったか
・そのような運用成績になった理由は何か
(アクティブファンドであれば、運用担当者がどのような運用を行ったのか)
・ポートフォリオの内容はどう変化したか
(投資する先はそれほど変わらないのか、変化したのか。変わったのであれば、どの銘柄を入れ替えたのか、なぜ入れ替えたのかなど)
・実際にかかった手数料(1万口当たりの費用明細)はいくらか

交付運用報告書をしっかり読むことで、運用方針にブレがないか、そのまま投資信託を持ち続けてもよいかを判断する材料になります。交付運用報告書よりも詳細な内容を知りたい人は、「運用報告書(全体版)」を読むとよいでしょう。

最近は、受益者(投資信託保有者)向けに運用報告会を開催したり、運用担当者がホームページ上の動画で運用報告をしたりする投資信託も増えてきました。交付運用報告書と併せて、そうした場に参加したり、説明を聞いたりすると、よりいっそう運用状況についての理解が深まります。なお運用報告書(全体版)については、ホームページ等にて閲覧が可能であり、請求を行えば交付されるので、交付運用報告書よりも詳細な内容を知りたい方は確認をしてみると良いでしょう。

運用担当者の今後の運用方針は何を見たらわかりますか。

次の3つを確認しましょう。

・「運用報告書」
年に1回または2回、受益者(投資家)向けに運用報告書が交付されます。運用報告書には、その期にどんな運用をしたのかの報告と、今後の運用方針が記されています。運用報告書には「交付運用報告書」と「運用報告書(全体版)」の2種類があり、最低限「交付運用報告書」はしっかり読むようにしましょう。

・「月次報告書」
月次報告書は「月次レポート」または「マンスリーレポート」とも呼ばれます。こちらは運用報告書と違い、毎月の運用状況を報告するための書類です。月次報告書には、運用実績や基準価額の変動要因のレポートが記載されているほか、組入上位10銘柄や一部のレポートでは投資信託が投資している会社について、運用担当者のタイムリーなコメントが読めます。

・「運用報告会」
運用報告会とは、投資信託の運用担当者などが、運用についての考え方を受益者に直接説明するミーティングのことです。運用会社によっては、年に1~2回運用報告会を行うケースもあります。運用報告会は、販売会社である銀行や証券会社を窓口とするのほか、投資信託を直接販売している運用会社が行うことがあります。

また、運用会社や販売会社のホームページで、運用担当者などが動画に出演し、運用報告や今後の方針などを説明している会社もあります。徐々にではありますが、運用者の顔が見える投資信託が増えてきました。まずは「運用報告書」と「月次報告書」について定期的に確認し、運用方針がきちんと説明されているか、運用方針がブレていないかをしっかりチェックしましょう。

投資信託の年間損益またはトータルの損益はどのように確認できますか。

特定口座で取引を行っている場合、投資信託の年間損益(1月1日~12月31日)は、「特定口座年間取引報告書」で確認できます。特定口座年間取引報告書は、毎年1月中旬以降に送付されるのが一般的でしたが、法律改正により、販売会社は郵送を行わなくてもよくなりました。郵送を行わない販売会社は、電子化された特定口座年間取引報告書を販売会社のホームページ上で確認できるようにしています。

一般口座を利用している場合は、「特定口座年間取引報告書」は発行されません。「取引残高報告書」か販売会社のホームページなどで確認し、投資家自身で損益を計算したうえで、必要であれば確定申告を行わなければなりません。

投資信託のトータルリターン(累計の損益)は、「トータルリターン通知制度」に基づく通知書で確認できます。この通知書は、「取引残高報告書」に付属しており、保有する投資信託の合計額だけでなく、銘柄別のトータルリターンを知ることも可能です。

アクティブファンドが目標とするベンチマークよりも成績がよかったかどうかを調べることはできますか。

運用成績の良し悪しを確認したい場合は、保有する投資信託の交付運用報告書や、「月次報告書」を見ましょう。月次報告書は「月次レポート」または「マンスリーレポート」とも呼ばれます。運用報告書や月次報告書で、ベンチマークと基準価額(分配金再投資ベース)を比較したグラフや、投資信託の騰落率がベンチマークを上回っているかどうかを確認できます。

また、「インフォメーションレシオ(IR)」という指標でチェックする方法もあります。
インフォメーションレシオとは、投資信託のリターンがベンチマークのリターンを超過した部分(アクティブリターン)を、ベンチマークに対する標準偏差(トラッキングエラー)で除算した指標です。
インフォメーションレシオの計算式は次の通りです。
インフォメーション・レシオ=アクティブリターン÷トラッキングエラー

投資判断において、インフォメーションレシオは目標とするベンチマークに対してどれだけのリスクをとっていて、その結果どれだけのリターンをあげることができたか、を見るための指標です。この数値が高いほど、リターンがリスクを上回り、アクティブ運用の成果が挙がったということになります。一般的に、インフォメーションレシオが優良とされる基準は、0.5ポイント以上です。インフォメーションレシオをチェックするときは、同じ分類・カテゴリーの投資信託同士で比較するのがよいでしょう。

ただ、インフォメーションレシオは、販売会社、運用会社、投資信託の評価会社のいずれも公表しているところは残念ながら少ないようです。
そこで、インフォーメーションレシオの代わりに、シャープレシオで比較するのも一つです。シャープレシオであれば、投資信託協会の「投信総合検索ライブラリー」でも調べることが出来ます[注1]。
[注1] 投資信託協会:投信総合検索ライブラリー
https://toushin-lib.fwg.ne.jp/FdsWeb/FDST000000

シャープレシオは、リスク(標準偏差)1単位当たりの超過リターンを測るもので、この数値が高いほど運用効率が高いと言えます。
シャープレシオ=(ポートフォリオの収益率-無リスク資産の収益率)÷ポートフォリオの収益率の標準偏差
シャープレシオを使ってチェックする場合は、インフォーメーションレシオと同様、同じ分類・カテゴリーの投資信託同士で比較するのがよいでしょう。

運用実績を見るときに出てくる「シャープレシオ」という指標は何を表しているのですか。

シャープレシオとは、「一定のリターンを得るために、どの位のリスクを取っているか」を計る指標です。一般的に、シャープレシオの数値が大きい投資信託のほうが、リターンの大きさに対してリスクが小さく、「運用効率がいい」といわれます。

シャープレシオの計算式は次のとおりです。
シャープレシオ=(ポートフォリオの収益率-無リスク資産の収益率)÷ポートフォリオの収益率の標準偏差

つまり、投資信託のリターンから、リスクフリーレート(元本保証された商品から得られる安全資産)の部分を差し引いた数値(超過リターン)を、リターンの変動度合い(リスク)で除算することで、シャープレシオを求められます。

たとえば、A投資信託のシャープレシオが0.9、B投資信託のシャープレシオが0.5だとしましょう。数値の大きいA投資信託のほうが、運用効率がいいとわかります。

ただし、シャープレシオを比較するうえで、いくつか注意点があります。まず、シャープレシオの比較は、同じ分類、同じカテゴリーの投資信託でなければ意味がありません。また、リターンがマイナスのときは、シャープレシオが小さいほど運用成績がいいという点です。リターンがマイナス同士の投資信託を比較すると、運用効率の悪い投資信託の数値のほうが高く出てしまうためです。この場合、シャープレシオだけでなく、リスクやリターンなどのほかの数値や指標なども含めて総合的に比較する必要があります。

資産を大きく増やすのに向いているのはどのような投資信託ですか。

資産を大きく増やしたい場合は、値動きが大きい株式の比率が高い投資信託を検討しましょう。国内株式で運用する投資信託のほか、米国株式の投資信託など先進国の株式に投資できる投資信託が候補です。

ベンチャー企業などに投資する「中小型株式」や、今後の経済成長が見込める「新興国株式」を運用する投資信託なら、さらに高い値上がり益が期待できます。
ただし、値上がりする可能性の高いものは、値下がりする可能性も高い点に注意が必要です。値動きが大きい分、中小型株式や新興国株式の運用には資産を大きく増やすことができる半面、大きく減らしてしまうリスクもあります。

また、投資信託の仕組み上、分配回数の多いものより少ないもの(年1回あるいは年2回)や、まったく分配金を出さない方針の投資信託のほうが、運用収益をより多く再投資に回せるため、資産を大きく増やす可能性が高まります。分配方針は「投資信託説明書(交付目論見書)」に記載されているため、必ず確認しましょう。

資産をあまり減らさずに運用するのに向いているのはどのような投資信託ですか。

日本や先進国の債券に投資をする投資信託は、株式に投資する投資信託と比べて、比較的低リスクです。そのため、資産をあまり減らさずに運用したい方は、債券を投資対象とする投資信託を検討しましょう。
債券のなかでも、格付けが低いものより高いもののほうが値動きが小さく、価格変動リスクが低くなります。信用力の高い債券であれば、元本が戻ってこなくなる「デフォルト(債務不履行)リスク」も低減できます。

また、海外の債券をふくむ投資信託の場合は、「為替ヘッジあり」のものを選ぶことで、為替変動リスクを回避できます。ただし、為替レートの変動によって為替差益を得られなくなる点と、為替ヘッジを行うための手数料が上乗せされる点に注意が必要です。

その他比較的リスクが小さいものとして、国内外の株や債券を広く持ち、株・債券・不動産(J-REIT)などに幅広く分散投資する「バランス型」の投資信託もあります。バランス型のなかでも、債券の比率が高いものは値動きが比較的小さくなります。

なお、資産をあまり減らさずに運用する場合は、資産を大きく増やすことは期待できないことを覚えておきましょう。

リバランスとは何ですか。

複数の銘柄の投資信託を保有していると、相場変動によって、各資産の保有比率が変わっていきます。たとえば、株価の上昇率が、債券やJ-REITなどの資産に比べて高い場合、運用資産全体に占める株式の比率が高まります。この場合、当初想定していたよりも、株価変動リスクを取っていることになります。また、外国通貨の上昇率が高いと、外貨建て資産の比率が高まります。こちらの場合も、当初の想定以上に、為替変動リスクを取っていることになります。

そこで、定期的に投資信託の配分比率をチェックし、資産配分のバランスを運用当初の比率に調整して、投資リスクをコントロールする必要があります。これを「リバランス」といいます。また、リバランスには、比率が高くなり過ぎたものを一部売却し、比率が低下したものを追加購入する「スイッチング」と、割合が少ない投資信託を新しく購入する「配分変更」の2種類があります。

投資信託を長期運用する場合、定期的な資産配分の見直しを行い、リバランスの実行が重要です。リバランスを実行しなければ、投資リスクが高まるだけでなく、資産配分が崩れることにより、当初予定していた運用目標に到達できない可能性もあります。

投資信託の口数とは何ですか。保有中増えたり減ったりしますか。

投資信託の口数(くちすう)とは、投資信託の取引単位のことです。株式の場合は1株いくらと計算しますが、投資信託では1口または10,000口いくらかを基に計算します。投資信託の1口または10,000口あたりの値段のことを「基準価額」といいます。基準価額は「交付運用報告書」や最新の「投資信託説明書(交付目論見書)」、あるいは販売会社や運用会社のホームページ等で確認をすることができます。また、投資信託協会ホームページ内の投信総合検索ライブラリーでも確認をすることができます[注1]。
[注1] 投資信託協会:投信総合検索ライブラリー
https://toushin-lib.fwg.ne.jp/FdsWeb/FDST000000

投資信託の保有口数は、自分自身で売却しない限り、勝手に減ることはありません。しかし、口数が増えるケースがあります。それは、投資信託の分配金を受け取らず、投資信託への再投資を行った場合です。分配金再投資を行うと、自動的に同じ投資信託の追加購入が行われるため、投資信託の保有総口数が増えます。分配金再投資を行うことで、複利効果を活用でき、投資効率を高めることも可能です。

投資信託の基準価額が大きく下がるのはなぜですか。

投資信託の基準価額が値動きする理由は、基準価額の計算式にあります。まず、基準価額とは、投資信託1口または10,000口(当初1口=1円の場合)あたりの値段のことです。投資信託に組み入れられている株式や債券等を時価評価したものに、株式の配当金や債券等の利息やなどの収入を加え、運用管理費用(信託報酬)などの必要な費用を差し引いたもの(純資産総額)を、投資信託の総口数で割ったものが基準価額です。投資信託に組み入れられた株式や債券等の価格は日々動いているため、株式や債券等の価格が下落すれば基準価額も下落しますし、上昇すれば基準価額も上昇します。

また、分配金が支払われることにより、基準価額は下落します。受益者(投資家)の分配金は、収益から支払われます。そのため、分配金が支払われると、収益などが純資産総額から差し引かれた分だけ基準価額も下落します。

仮に、投資信託に組み入れられた資産の値動きがなく、分配金の支払いがなかった場合でも、基準価額は毎日変動しています。これは、日々の売買取引において、運用管理費用(信託報酬)や監査費用といったコストが差し引かれるからです。差し引かれた費用の分だけ、基準価額は下落します。運用管理費用や監査費用は銘柄ごとに決まっており、「投資信託説明書(交付目論見書)」で確認することができます。

投資信託の個別元本が変わりましたが、なぜですか。

3つの原因が考えられます。

・同銘柄を追加購入した場合
個別元本とは、購入時の基準価額のことです。個別元本の計算式上、投資信託を追加購入した場合は、追加購入時の基準価額も個別元本に影響します。
個別元本=(購入時の基準価額×口数+追加購入時の基準価額×口数)÷総保有口数

たとえば、基準価額10,000円で100口購入した場合、初期の個別元本は10,000円です。しかし、基準価額9,500円で新たに100口追加購入したとすると、(10,000×100+9,500×100)÷200=9,750円が、新たな個別元本になります。

・分配金が再投資された場合
分配金の受け取りがなく、再投資された場合も、その金額で投資信託の追加購入が行われます。同じ投資信託を追加購入した場合と同様、追加購入時の基準価額に基づいて個別元本が再計算されるため、個別元本が変動します。

・元本払戻金(特別分配金)が支払われた場合
「元本払戻金」とは、収益から分配金が支払われる「普通分配金」と違い、元本を取り崩すことで支払われる分配金です。元本を取り崩した特別分配金の金額分だけ、個別元本も減額修正されます。

運用会社、販売会社、信託銀行が破綻したら、保有している投資信託はどうなりますか。

・運用会社が破綻した場合
運用会社は投資信託の運用指図を行いますが、投資信託の運用に使われる「信託財産」の保管および管理は行いません。信託財産は運用会社とは別の信託銀行(受託会社)に保管されています。したがって、運用会社が破綻したとしても、信託財産に直接的な影響はありません。運用会社が運用していた投資信託は、別の運用会社に引き継がれるか、繰上償還の手続きを受けることになります。

・販売会社が破綻した場合
同様に、販売会社は受益者(投資家)からお金を集め、信託財産を形成しますが、信託財産そのものは信託銀行(受託会社)が保管します。販売会社が破綻したとしても信託財産に影響はなく、保有していた投資信託は、別の販売会社に移管され、移管先の販売会社で引き続き取引することが可能です。

・信託銀行(受託会社)が破綻した場合
投資信託の信託財産は、信託銀行が管理しています。しかし、信託財産は信託銀行自身の財産とは区分して管理(分別管理)することが、法律によって義務づけられています。
したがって、信託銀行が破綻したとしても、信託財産に影響はありません。投資信託は、破綻時の基準価額で払戻されるか、もしくは他の信託銀行に信託財産が移管されます。信託財産が移管された場合は、そのまま投資信託を保有することができます。

このように、運用会社、販売会社、信託銀行が破綻しても、受益者から集めた信託財産は保全される仕組みになっています。ただし、「信託財産は保全されている」ということと、「元本保証がある」は別物です。投資信託は元本保証のない金融商品です。運用の結果、損失が発生する可能性はあるため、ご注意ください。

投資信託の基礎知識 投資信託の基礎知識

税金・手数料の知識 税金・手数料の知識

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シチュエーション編

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