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投資信託なんでもQ&A
気になる100選

シチュエーション編

現在、運用をしている人 現在、運用をしている人

投資信託の資料がいろいろ送られてきますが、何を注意して見ればいいですか。

投資信託の購入前、購入後で注意して確認をする資料が異なります。
投資信託の購入前に読むべき資料は、運用会社が作成し、販売会社が投資家に交付する「投資信託説明書(交付目論見書)」があります。交付目論見書には、その投資信託の投資対象や運用方針、基準価額変動要因(投資リスク)、過去の運用実績、コストや取引方法など、投資判断の材料となる重要事項が記載されています。さらに、詳細な情報を得たい時には、販売会社から「請求目論見書」を受け取るようにしましょう。

購入前に交付目論見書に目を通し、次について必ずチェックしましょう。

・自身の投資目的や投資スタンスに合った投資信託か
・運用管理費用などのコストに納得できるか
・価格変動の度合いや、どんなリスクを取って運用するのか、またリスクは許容範囲内か

投資信託の購入後には、「取引報告書」、「取引残高報告書」、「分配金のご案内」、「トータルリターン通知制度」に基づく通知書、「交付運用報告書」といった資料が送られてきます。とくに重要なのが、「トータルリターン通知制度」に基づく通知書と、「交付運用報告書」の2点です。

トータルリターンとは、投資信託の基準価額に基づく評価額や、これまでに受け取った分配金、一部払戻した投資信託の売却金額(キャピタルゲイン)の3つを含めた、トータルの損益のことです。トータルリターンを知ることで、投資信託の運用成果がプラスなのか、マイナスなのかがひと目でわかります。

また、投資信託の決算ごとに送られてくる「交付運用報告書」も重要です。運用報告書には、これまでの運用経過や、運用を担当したファンドマネージャーのコメント、今後の運用方針、運用管理費用などの実際に掛かったコストの総額が掲載されています。交付運用報告書を読み、これまでの投資成果を確認し、保有を継続するのか判断をしましょう。なお、交付運用報告書のほか、より詳細な内容が記されている「運用報告書(全体版)」もあります。

外貨建て資産への投資は必要でしょうか。

外貨建て資産への投資が必要かどうかは、個人の投資方針によって異なります。その中で、外貨建て資産へ投資をすることで日本と海外の金利や経済成長率の差を活かし、為替差益や売却益などの収益機会を拡大することが可能です。

また、中長期的な分散投資の観点からも、国内外の金融資産を幅広く持っておくことはリスクヘッジになります。日本の資産だけでなく、異なる値動の外貨建て資産を併せ持つことは、投資リスクを抑えるうえで大切です。

しかし、外貨建て資産への投資には、価格変動リスクだけでなく、為替変動リスクがある点にも注意しましょう。投資した時点よりも円安が進行すれば、為替差益によってリターンが得られますが、逆に円高になると為替差損が発生します。為替差損を回避したい場合は、為替ヘッジがある外貨建て資産を選ぶことも可能です。しかし、為替ヘッジにはコストがかかるため、その分収益率が低くなる可能性があります。

外貨建て資産への投資は、外貨ベースの収益性というリターンが期待できる一方で、外貨の対円での為替変動といったリスクを考慮する必要があります。他の保有資産とのバランスや、許容できるリスクの度合いなどを考えて、資産の一部に組み入れるかどうかを検討しましょう。

インデックスファンドの運用の良し悪しは何をもって判断すればいいですか。

インデックスファンドの運用の良し悪しは、投資信託などが運用する基準となるベンチマークとの乖離を表す「トラッキングエラー」から判断ができます。例えば日本株式に投資するインデックスファンドの場合、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)と連動した運用となります。トラッキングエラーの数値が小さいほど、運用成績が良好だと判断できます。

トラッキングエラーは、販売会社が交付する「投資信託説明書(交付目論見書)」ではなく、「交付運用報告書」で確認できます。トラッキングエラーが直接記載されていない場合も、運用報告書に記載された基準価額のチャートと、ベンチマークとなった市場平均を比較することで、おおまかな乖離率を把握することが可能です。

また、基準価額と市場平均の乖離を抑えるうえで、手数料の金額も重要になってきます。手数料の金額が大きいほど、トラッキングエラーの数値が大きくなるからです。

まずは、販売会社が交付する「交付運用報告書」などを確認し、保有期間中の運用管理費用(信託報酬)をチェックしましょう。余裕があれば、売買取引にかかる「売買委託手数料」や、監査法人に支払う「監査費用」などを加えた総コストをチェックしましょう。

運用報告書の「1万口当たりの費用明細」を見ると、1万口当たりの手数料の金額や比率を調べられます。なお、複数の投資信託に投資する「ファンドオブファンズ」の場合、投資先の運用会社の費用分が交付運用報告書に記載されないため、注意が必要です。

併せて、純資産総額の推移も確認しておきましょう。純資産総額の小さい投資信託は、運用成績が安定しないだけでなく、運用期間中に繰上償還されるリスクもあるからです。

手数料の低いインデックスファンドが登場したら、すぐに乗り換えるべきですか。

インデックスファンドの手数料はどんどん低下しています。NISAには、運用管理費用(信託報酬)が年0.1%台のインデックスファンドもありますが、すぐに乗り換えるには注意が必要です。

保有中にかかるコストは運用管理費用だけではなく、売買取引にかかる「売買委託手数料」や、監査法人に支払う「監査費用」など、運用管理費用以外のコストもあります。そうした手数料をすべて加味した総コスト(実質的にかかるコスト)は、受益者(投資家)向けに作成される「交付運用報告書」を見るまで分からないため、手数料が安いからといってすぐに乗り換えるのではなく、各費用の確認をしましょう。

また、手数料が安い代わりに、純資産総額が極端に小さい投資信託もあり、注意が必要です。純資産総額が小さい投資信託は、指数との連動性が劣ってしまったり、運用期間中に繰り上げ償還されたりと、さまざまなリスクを抱えているケースもあります。

手数料の低いインデックスファンドが登場したら、すぐに乗り換えるのではなく、しばらくは「様子見」をしましょう。すぐに現金化して、お金を使う必要がないのであれば、保有する投資信託は(払戻しを行わずに)そのまま運用し、新規に購入または積立てていく分について、新しい投資先に変更する戦略も可能です。

運用管理費用の低コスト化が進んだ結果、残高が増えると運用管理費用が引き下げられる投資信託も登場しています。長期保有も含めて乗り換えを検討するなら、そうした方針を打ち出している投資信託を選ぶことで、運用管理費用などを抑えられます。

保有中の投資信託が値上がりしているので、売却して利益を確定し、他の投資信託へ乗り換えることを検討しています。注意点を教えてください。

投資信託は長期保有が原則ですが、右肩上がりにいつまでも上がり続けることは考えられません。投資信託が値上がりした結果、投資対象の割高感が明らかに強まった場合、あるいは自分が目標と考えた収益に達した場合はいったん売却して利益確定するのも1つの戦略です。

ただし、その売却益を使って、すぐに他の投資信託に乗り換えるのではなく。乗り換え先の投資信託にも割高感がないか、自分自身の投資目的や投資スタンスに合致しているかを、じっくり検討する必要があります。

なお、「NISA」や「iDeCo(個人型確定拠出年金)」をのぞき、投資信託の売却によって譲渡益が発生すると、20.315%の課税がなされます。そのため、再投資に回せる資金は、税金分だけ目減りする点に注意が必要です。NISAでは払い戻した際の譲渡益は非課税です。また、iDeCoの収益には税金はかかりません。

また、払戻しによって手にした資金で他の投資信託に乗り換える場合、投資信託によっては購入時手数料(販売手数料)がかかる点にも注意しましょう。つまり、税金分だけでなく、購入時手数料の分も運用資金が目減りします。そのため、同じ値動きをするような投資信託への乗り換えは、資産を目減りさせるだけであまり意味がありませんので、投資信託の乗り換え先を慎重に判断することが大切です。

大きく値上がりしているときの売却の判断はどうすればいいですか。

「大きく値上がりしたから」といった感覚で売却するのは危険です。投資信託を換金するのか否かは、きちんと自分なりの投資ルールを決めた上で行いましょう。

投資の判断において、次の3つのルールが重要です。

・投資に振り向けるお金(リスク資産)と、それ以外の元本が保証されたお金(預貯金などの安全資産)の割合を決める。
・分散投資も考慮しつつ、リスク資産の中で資産配分(株式と債券の比率など)を決める。
・各資産クラス(株式や債券といったカテゴリー)ごとに商品の配分比率を決める。

もし、特定の投資信託が大きく値上がりした場合、上記3つの配分比率が崩れていないかをチェックします。当初の目標から大きく崩れている場合、値上がりした投資信託を払戻して、配分比率の調節を行います。これを「リバランス」といいます。

なお、NISAでは保有商品を売却すれば、その簿価分の枠が空いて、翌年には再び利用できるようになります。その他に、金融資産のスイッチング(預け替え)が可能な制度としては、たとえばiDeCo(個人型確定拠出年金)もあります。

保有中の投資信託が値下がりしており、他の投資信託へ乗り換えることを検討しています。注意点を教えてください。

投資信託が値下がりすると心配になりますが、「いつまでも下がり続ける相場はない」、あるいは「価格は上がったり下がったりするが、中長期でみれば経済成長を背景に上昇する可能性は高い」ということを頭に入れながら注意をしましょう。値下がりしている投資信託については、市場の状況が好転したり、国や中央銀行の政策変更などを背景として基準価額が値下がりする前と同等程度に戻る可能性もあります。

また、値下がりしている投資信託が、今後値上がりしたとしても、投資信託の取得価額に達するまでの値上がり益は課税対象になりません。しかし、投資信託の売却益で他の投資信託に乗り換え、値上がり益が得られると、課税対象になります。こうした点も踏まえて、それでも乗り換えるメリットがある場合は、他の投資信託への乗り換えを検討しましょう。ただし、値下がり損を被ったとしても、他の投資信託などの値上がり益と損益通算ができたり、値下がり損(年間の収益が赤字)だけの場合は、確定申告を行うことで「譲渡損失の繰越控除」を利用することができます。

買った投資信託はいつまで保有していればいいですか。どんなときに売ったらいいですか。

投資信託はお金が必要になるまで保有し続けるのが基本です。例えば、老後資金のために購入した投資信託であれば、お金が必要になる老後に取り崩していくのが運用の原則と言えるでしょう。

もちろん、運用期間中に保有している投資信託を一部売却するケースもあります。例えば、投資信託の値上がりによってリバランスの必要が生じた場合や、結婚やマイホーム購入などのライフステージの変化によって、資金が必要になった場合などが当てはまります。

また、相場の急激な変動により、投資対象の割高感が明らかに強まった場合は、出口戦略の一環として売却するケースもあります。

保有資産の見直しはどのくらいの期間ごとに行ったらいいですか。

保有資産の見直しは、それほど頻繁に行う必要はありません。1年に1回、夏休みや年末年始など時間が取れる時期を利用して、見直しを行えば十分です。また、相場が大きく動き、保有資産の一部が急激に値上がりした場合は、資産配分の調整のため(基礎知識編の「リバランスとは何ですか?」も参照)に、保有資産を見直すこともあります。

投資スタイルによっては、ライフステージに応じてその都度資産配分を見直していくという考え方もあります。たとえば、20代~30代の若いときは、値動きが大きい株式への投資比率を高めに設定し、中年期・高齢期になるにしたがって、安定性が高い債券への投資比率を高めていくといったケースです。こうした投資スタンスをとる場合は、10年、15年という長い期間で、資産配分を見直していくことになります。

投資信託の他に上場株式への投資も行っています。投資信託と上場株式の譲渡損益は通算できますか。

投資信託の売買損益、解約償還損益、収益分配金(普通分配金)は、上場株式等の譲渡損などとの損益通算が可能です。損益通算の結果、損失が発生した場合は、確定申告を行うことで損失(赤字)部分を翌年以降最大3年間繰り越す「繰越控除」も利用できます。繰越控除を利用する場合は、繰り越す年ごとに毎年確定申告が必要なため注意しましょう。

また、損益通算の手続きは、投資信託に使う口座の種類によって違います。

・特別口座での取引の場合
特定口座(源泉徴収あり)での取引の場合は、確定申告をせずとも、特定口座内で上場株式等の譲渡損などと損益通算が行われます。ただし、「譲渡損失の繰越控除」を利用する場合は、確定申告を行わなければなりません。
なお、特定口座(源泉徴収あり)であっても複数の金融機関で口座を所有している場合は、口座間で自動的に損益通算はされないので、確定申告を行う必要があります。

一方、特定口座(源泉徴収なし)での取引の場合は、「特定口座年間取引報告書」などを確認し、これまで通りご自身で確定申告を行う必要があります。

・一般口座での取引の場合
一般口座での取引の場合も、確定申告を行うことで損益通算が可能です。ただし、特定口座と違って「特定口座年間取引報告書」が送付されないため、年間の譲渡損益などをご自身で計算する必要があります。

子どもに生前贈与を考えていますが、現在運用をしている投資信託をそのまま贈与をすることはできますか。

お子さまへの生前贈与は、現金や預金に限らず、株式・債券・投資信託などといった金融商品も対象になります。贈与者(親)の口座の信託財産を、受贈者(子や孫)の口座に移管することで、運用中の投資信託の生前贈与が可能です。原則として、受贈者側の証券口座が必要になるため、あらかじめ口座開設の手続きを行っておきましょう。受贈者1人につき、年間110万円以下の生前贈与であれば、非課税で投資信託を移管できます(暦年贈与)。金融機関によっては、生前贈与にともなう口座の移管サービスに対応していない場合もあるため、あらかじめ対象機関の窓口でご確認ください。

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