東京証券取引所からのご挨拶 今こそ「継続投資教育」の再確認を

カンファレンス閉会にあたり、東京証券取引所の専務執行役員小沼泰之が挨拶しました。小沼は、短期的にはマーケットは楽観できないものの、こういうときこそ長期的な視座で資産運用に取り組むことが大切であるとし、継続投資教育の重要性について語りました。

※本記事は、2022年9月1日~9月30日にオンデマンド配信した「企業型確定拠出年金カンファレンス2022秋」の講演内容を基に構成したものです。

小沼泰之氏写真

株式会社東京証券取引所 取締役 専務執行役員 小沼泰之

不確実性が高い時代だからこそ
長期分散投資を基本に

本日は「企業型確定拠出年金カンファレンス2020秋」をご視聴いただき、誠にありがとうございました。
わが国における確定拠出年金(DC)制度は誕生から20年あまりが経過しました。この間、制度改正が行われ、今年も多岐にわたる改正が進められています。DCを導入された企業でも、さまざまな取り組みが進んでおり、ご尽力されていることと存じます。
本日は専門家の皆さまにお集まりいただき、わかりやすく面白い解説、制度導入企業の事例なども織り交ぜながらお届けすることができました。DCご担当者をはじめ皆さまのお役に立てる内容が提供できたと思っています。私自身も「なるほど」と思うところも多く大変勉強になりました。
昨今、金融経済情勢は心配事も多くあります。多くの企業の皆さまがウィズコロナの中でどのように経済活動を正常化していくか、模索しながら日々努力されていると思います。外部環境においては、大きな地政学リスクやインフレなどもあり、さまざまな不安定要素が出てきています。短期的には、マーケット自身楽観的な状態ではないと思います。
不確実性が高まる中で、DCの加入者の皆さまも、直近の運用成績や市況環境について不安に思われている方もいらっしゃると思います。一方、このような時にこそ、長期的な視座で考えていく運用姿勢、長期積立分散を運用の基本として勉強していただいて、DC加入者である従業員の皆さまに少しでも経済運営に対するご理解と将来に向けた心構えを進めていただくことが肝要ではないかと考えています。

金融経済教育の新ブランドを設置し
積極的に活動を展開

私ども日本取引所グループ(JPX)では、かねてより金融経済教育に力を入れてきました。資産形成の大きな動きが生まれてい る中でさらに注力していくために、金融経済教育活動のリブランディングを行いました。幅広い世代に対してマネー・ライフ プランニングに資する総合的な金融経済教育を展開するべく、金融知識を総合的に提供できる統一ブランド「JPX マネ部!ラボ」を2022年4月1日に設置しました。
合わせて、社会人から学生まで、対象別に体系的に整理を行いました。具体的には、小~高校向けの金融教育「スクールマネ部!」、大学生向けの金融教育「キャンパスマネ部!」、社会人向けにはオンライン・対面セミナーの「セミナーマネ部!」などです。

そして、このほかにも力を入れているのが、職域セミナー・研修の「出張マネ部!」です。企業の従業員の皆さまの資産形成をサポートするため、東証社員を講師として派遣するサービスで、これまで320回開催し、1万6,000名を超える方々に金融知識をレクチャーしてきました。

出張マネ部!「職域」の皆さまへの情報提供・セミナー等の開催詳細は「出張マネ部!」でご検索ください。
出張マネ部!「職域」の皆さまへの情報提供・セミナー等の開催詳細は「出張マネ部!」でご検索ください。

本日のカンファレンスでは、継続投資教育を一つの主眼に置かせていただきました。投信協会会長の松谷様もご指摘の通り、従業員の皆さまにとって、資産形成は自分の身を守るより豊かな生活を進めるためのものであるとともに、投資により社会参画、社会貢献につながっていきます。この二つの軸を中心に、しっかりと従業員の皆さまにも考えていただき、今後の活動に取り組んでいただきたいと思います。企業も、従業員の皆さまがそのような形で資産形成に参加していただくことで、持続的な成長、あるいは人材を重視していく活動に結び付けていただきたいと願っています。

出演者の氏名・プロフィール

小沼泰之氏写真

株式会社東京証券取引所 取締役 専務執行役員
小沼 泰之(こぬま・やすゆき)

1961年生まれ、東京都出身。 84年慶応義塾大学経済学部を卒業。同年東京証券取引所入所。 1986~87年東京銀行(現・三菱UFJ銀行)への出向。1990~92年米カリフォルニア大学バークレー校に留学(同校経営学修士課程を修了)。その後、東証の国際関連業務に従事。2007年からは上場推進業務に従事し、企業の新規上場支援、新商品(ETF、REITなど)の開発・プロモーションを統括。2017年取締役常務執行役員を経て、2020年より現職。

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