2011年のトピックス

稲野会長挨拶を掲載しました

 はじめに、新型コロナウイルスの感染拡大によりお亡くなりになられた方々に対し、謹んでお悔やみを申し上げますとともに、難に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。 

 この難事により、世界中で消費等の需要縮小やサプライチェーンの断絶等による生産縮小など、実体経済への悪影響が強く懸念される事態となっています。世界規模での感染拡大がいつ終息するのかが見通せず、今後、長期間の経済低迷、市況悪化が懸念される状況となっており、世界の資本市場・金融市場の動揺が続いています。

 こうした中、将来の資産形成のためにこのまま投資信託への投資を続けてよいのか、戸惑い、躊躇されている方々も沢山いらっしゃるかもしれません。

 それでもなお、個人の方々が資本市場に参加する、すなわち資本市場に資金を投入するという行為は、将来の経済成長に不可欠であり、「投資をした人・続けた人」が結果的に成長の果実という形で報われるということは歴史が物語るところであります。

人類はここ数百年の歴史の中で、世界経済が動揺する大きな難事を何度も経験してきました。14世紀の欧州ではペストが大流行し、人口の約半数が亡くなりました。また、18世紀には南海泡沫バブル、19世紀後半と20世紀初頭には第一次大戦を挟んで二回の大恐慌がありました。そして、途方もない痛手がもたらされた第二次世界大戦。その後、石油ショックやブラックマンデー、ITバブル崩壊を経て、21世紀に入ってまもなく起きたリーマンショックはまだ記憶に新しいところです。それでも我々人類は、社会・産業の構造変化や多数のイノベーションなどを通じて、一時の経済危機を乗り越え、持続的な経済成長を果たしてきました。

 足もとでも、DXやAIを始めとするイノベーションによって近未来を手繰り寄せる動きが本格化しています。そうしたイノベーションが今後も持続するとの前提に立てば、いずれ目下の難事を乗り越え、世界経済が再び持続的な成長へ回帰するとともに、「投資をした人・続けた人」がその果実を得るであろうとの仮説を立てることは、そう難しくないように思われます。

 わが国は「貯蓄から資産形成へ」と官民挙げて長年、取り組んで参りましたが、近年、漸く、一般生活者の方々の間に、資産形成には投資が必要であるということが定着し始めてきたところでした。

 難事に際し、経験や記憶などに影響されるバイアスのかかった判断を避けて、出来るだけ合理的行動を取るためにも、「長期・分散・積立」が、ノーベル賞でも認められた行動ファイナンス理論に整合した投資手法であり、経済変動や社会変革を超えて成長の果実を手にする方法であることを再確認したいと思います。

 投資信託業界といたしましては「国民の皆さまの資産形成に資する」という社会的使命を果たすべく、皆さまの資産形成、さらには日本経済・世界経済の成長に貢献できるよう、引き続き全力を尽くして参りますので、何卒宜しくお願いいたします。

令和2年4月1日
一般社団法人 投資信託協会
会長 松谷博司