投資信託セミナー in 名古屋〜長期・積立・分散 つみたてNISAとiDeCoで未来へ資産を育てよう〜

第二部/パネルディスカッション

「今後の資産形成のために、今からできること〜長期投資のすすめ」

2019年9月7日(土) 名古屋商工会議所 2階ホール

【登壇者】

ファイナンシャルプランナー 大竹 のり子 / 落語家 春風亭 昇々 / 一般社団法人投資信託協会 会長 松谷 博司

【コーディネーター】

フリーアナウンサー 浜田 節子

左から、松谷博司、大竹のり子 氏、春風亭昇々 氏

少額から分散投資ができる投資信託

浜田 低金利時代が続く現代において、貯蓄から投資へまわす資産形成のニーズがますます高まりを見せています。今後の資産形成のためにできることについて、このパネルディスカッションを通して一緒に考えていけたらと思います。まずはファイナンシャルプランナーの大竹さんから、投資信託の仕組みや魅力について教えていただけますでしょうか。

大竹 投資信託とは言葉の通り、「投資を信じて託す」ものです。大きなメリットとしては、1万円程度の少額から始められること、ファンドマネージャーと呼ばれるプロに運用を任せられること、そして、一人ひとりは少額の投資でも、それをまとめて大きな資金で運用するため、世界中の株や債券に投資先を分散できることがあげられます。また投資家にとって利益の出方は2種類あります。ひとつめは基準価額の値上がりによって得られる利益、そして、保有中に受け取ることができる収益の分配金による利益です。

浜田 では、投資信託の社会的意義はどのようなものか、松谷さんから解説いただけますでしょうか。

松谷 お金は、動いて初めて価値を生むものです。投資して動かすことで経済が成長し、その対価として資産が増えていく。こうしたステップを踏むことで、この名古屋にいながら世界経済の成長に貢献できますし、結果的に一人ひとりの資産が増え、日本経済が潤うことにつながります。皆さまが投資したお金の一票が、社会を動かす力になるのです。

浜田 ありがとうございます。昇々さんが先ほど披露いただいた『千両みかん』という落語は、経済学に通じる部分もありますね。投資信託についてどうお考えですか?

昇々 実は私も投資信託を持っています。以前、投資信託にまつわる落語をつくったことがあるのですが、その時に「お金の価値は目減りしている」と教えてもらって。たとえばお菓子だって、この数年で価格はそのままでサイズが小さくなっているものがあります。銀行に預けたままだとお金は増えないと実感して、投資にまわし始めて3〜4年です。初心者ですが、貯蓄するような感覚で投資信託を購入しています。

浜田 投資信託のメリットや社会的意義について、よく分かりました。昇々さんのお話からも、投資信託の間口がますます広がっていることを感じます。

資産形成には長期・積立・分散が重要

浜田 皆さまから寄せられた質問をご紹介します。「52歳、リスクを抑える投資方法を教えてください」、「49歳、始めるタイミングを知りたい」、「61歳、投資のことだけに集中する時間はないのですが、どんな方法がありますか」。これらの質問について大竹さん、お答えいただけますか。

大竹 資産運用の目的はそれぞれ違うと思いますが、将来のために資産を形成するのならば、できるだけ減らさずに安定的に増やしていくのがポイントになると思います。そのためには、「長期・積立・分散」という3つのキーワードが大切です。まず「長期・積立」についてですが、毎月同じ投資信託を1万円ずつ購入すると、高い時には少し、安い時にはたくさん購入できることになります。つまり、長期的にコツコツ買い続けることにより平均の購入額が平準化され、結果として平均購入額を下げる効果が期待できるのです。いわゆるドルコスト平均法という買い方なのですが、これをやりやすいのが投資信託です。また、世界中いろいろなものに投資できる投資信託なら、日本の経済が落ち込んでいる時でも、海外の株や債券に投資できます。リスクを抑えるためには、「分散」させて投資することが重要になります。

松谷 まずは、ドキドキしない金額からスタートするのが良いかと思います。怖いなと思う金額だとすぐに売りたくなってしまう。長期的に続けるのがリスクを減らすコツですよ。

浜田 リスクと上手に付き合うために「長期・積立・分散」が大切になるのですね。先ほど、投資信託に集中する時間がないというご意見がありましたが、昇々さんはどのように生活の一部に投資信託を取り入れていますか?

昇々 私は正直、それほど購入した投資信託の価額を見ていないです。プロに運用を任せていますし、分散させて買っているので、値動きが激しくないんですよ。天気予報を見るような感覚ですね。マーケット全体の値動きは、興味があるのでよく見ていますが。

NISAと確定拠出年金を利用

浜田 さて、さらに注目が高まっているNISAやiDeCoについても、皆さまから質問をいただいています。それでは大竹さん、まずはNISAやiDeCo、それぞれの概要について教えてください。

大竹 NISAやiDeCoという言葉はよく聞くものの、分かりづらいという方が多いかもしれませんね。勘違いされている方もいらっしゃるのですが、NISAやiDeCoは金融商品ではなく制度の名前です。NISAやiDeCoはいずれも運用益非課税というメリットがありますので、これらを活用して、上手に資産運用をしていただければと思います。まず、NISAとつみたてNISAはどちらか一つしか選択できません。それぞれ年間投資上限額や運用期間が決められていますが、つみたてNISAの場合は、金融庁が定めた一定の要件を満たした投資信託やETFのみが投資対象となります。NISAは株式投資と併用して行う人、つみたてNISAはコツコツ資産を増やしていきたい人に向いているかと思います。また、NISAとつみたてNISAはいつでも資金を引き出せるのに対して、iDeCoは60歳以降しか引き出せないという特徴があります。さらにiDeCoは、掛け金が全額所得控除になるためより大きな節税効果があります。NISAとiDeCoは併用できるため、老後のために無理をせず、上手に活用していっていただければと思います。

松谷 NISAとiDeCoの大きな違いは、大竹さんもおっしゃっていたように途中でお金を下ろせるかどうかですね。将来の自分へ仕送りをしたいと考えるならiDeCoがおすすめです。昇々さんは、落語家さんというと収入がぶれることもあるでしょうから、iDeCoには興味がおありなんじゃないでしょうか?

昇々 はい。iDeCoは、とても興味があります。個人事業主ですから、所得控除を受けられるのはいいですね。NISAと併用できるのも魅力的です。

松谷 長期の積立として行える、つみたてNISAやiDeCoは将来の備えになりますね。

浜田 NISAやiDeCoにはメリットがたくさんありますね。将来から逆算して考えてみると、今、何をすべきか見えてきそうです。

投資信託の選び方

浜田 皆様のご質問では、投資信託の選び方について迷われている方が多いようですが、これらについては大竹さん、いかがでしょうか。

大竹 投資信託を購入する方は、短期的な値動きや利益について気にしてしまいがちなのですが、資産をいつ、何のために増やしたいのかという目的に応じたものを買うというのが大前提です。投資信託の中身は、収益性の高いものから値動きの激しいものまで、商品によって千差万別です。初心者の方にまず見ていただきたいのが手数料です。手数料には、購入する時に発生する販売手数料のほかに、保有中にかかる運用管理費用(信託報酬)というものがあります。せっかく選ぶなら、手数料の少ないものから候補にしていきましょう。また手数料のほかに、長期的に付き合えるかどうかという点にも注目してみてください。登場したての投資信託よりも5〜10年の実績があるもの、資産の残高が右肩上がりのものが期待できるでしょう。初心者の方に最もおすすめなのは、バランスファンドと呼ばれるタイプ。株式や債券などの中身のバランスがよく、安定性の高い商品です。

松谷 大竹さんと同じく、初めての方はバランス型のものを選んで長期的にコツコツ運用していくことをおすすめします。まずは少額から、グローバルに分散した商品を買うと良いでしょう。私たち投資信託協会のホームページでは、投信総合検索ライブラリーというものをご用意しており、ほぼすべての日本の投資信託について手数料や特徴を紹介しています。購入の際の調査に有効かと思います。

浜田 9月17日にはホームページのリニューアルを予定されているんですよね。皆さま、ぜひご活用ください。昇々さんは、投資信託を購入する時はどのように選ばれたんですか?

昇々 やはり最初に気にしたのは手数料でした。手数料が安いものをピックアップして、その中から選んだのですが、投信総合検索ライブラリー、とても役に立ちそうですね。

浜田 投資信託の選び方についてよく分かりました。では、最後に一言ずつメッセージをいただけますでしょうか。

大竹 「リスクが怖い」と言って投資をされない方もいますが、将来、年金だけでは生活していけないかもしれないことだって大きなリスクだと思います。投資信託は値動きがあるものですが、きちんと向き合えば預金よりもお金を増やせて、老後の不安もなくせます。ゆっくりでもいいので一緒に学んでいきましょう。

松谷 人生100年と言われる今、50代、60代から始めるのだって遅くありません。月2万円ずつでも、年4%の利回りで積み立て投資した場合、40年後には2000万円以上になります。皆さまが長期的にコツコツ、自分への仕送りとして投資をされることで、100歳まで快適に生活できることを願っております。

昇々 本日は会場の皆さんと同じ立場で勉強させてもらいました。これからは、国に守ってもらうよりも個人が自分を守っていく時代です。投資信託は私でもできるものです! 皆さんもぜひ始めてみてください。

浜田 目的に合わせて、大切な資産をかしこく運用していくことが大切ですね。本日はありがとうございました。

当日はほぼ満席の会場で、参加者の方々は投資信託についての有意義な話に熱心に耳を傾けられていました。投資信託に興味がある方は、投資信託協会のホームページもぜひチェックしてみしょう。
■一般社団法人投資信託協会 https://www.toushin.or.jp/