長期で成果が期待できる新興国投資は若い世代にこそおすすめです

BRICs経済研究所 代表門倉貴史氏

神奈川県生まれ。1995年慶應義塾大学経済学部卒業。浜銀総合研究所、(社)日本経済研究センター、東南アジア研究所(ISEAS)、第一生命経済研究所経済調査部主任エコノミストを経て、2005年7月よりBRICs経済研究所代表。専門は日米経済、労働経済、行動経済学、アジア経済、BRICs経済、地下経済と多岐にわたる。講演やテレビ・ラジオのコメンテーターなど、多方面で活躍中。『必ず誰かに話したくなる経済学』(PHP研究所)など著書多数。

門倉貴史氏


その失敗から学んだ教訓はありますか。

やはり株式に投資するのであれば、1つの銘柄に集中させるのではなく、複数の銘柄に分散させたほうがいいでしょう。しかも業種もできるだけ分散させる。私の場合、IT銘柄に集中させたことで失敗してしまったわけですから。

その意味では、投資信託であればはじめから投資対象が分散されています。

そうですね。特に新興国に投資するのであれば、なおさら投資信託が有効だと思います。新興国の場合はマクロ経済の情報でさえあまり入ってきませんから、個別企業の決算や業績を個人が知ろうと思っても難しい。そもそも個人では投資そのものができないというケースもあるので、プロが運用する投資信託を購入するメリットは大きいでしょう。

投資対象として見た新興国の特徴を教えてください。

まず株式についていうと、先進国に比べて値動きは非常に激しいですね。世界的な好景気で株価が上がっているような局面では、新興国の株式のほうがパフォーマンスは良くなる半面、景気が悪くなると、たとえその原因が先進国にあっても新興国のほうが大きく下がってしまう傾向があります。

ですから、リスクを抑えたいという人には、債券という選択肢もあります。ただし債券であっても、為替は大きく動く傾向にありますから、その点には注意が必要です。

門倉貴史氏

いずれにしても、新興国に投資する場合は短期で売買するのではなく、5年、10年といった中長期で保有するほうが成長の恩恵を得やすいと思います。まだ市場の規模が小さい新興国は、短期的にはリーマン・ショックやギリシャ危機のようなショックの影響を受けやすいものの、経済自体が悪くなっているのでなければ、いずれは元の成長トレンドに戻ります。だからこそ、短期の上げ下げに一喜一憂するのではなく、長期で投資をするという姿勢が基本になるでしょう。

そもそも、資産運用の必要性についてはどう考えていますか。

これまでは定年退職したとき、3000万円くらいの資産がなければ余裕のある生活はできないといわれてきました。けれども平均寿命が延びている中で、その金額はこれからさらに増えていくでしょう。

それでは具体的に資産をどうやって蓄えていけばいいのかといえば、いまの低金利の時代では、ある程度のリスクをとって運用しないとお金を増やすことは難しい。ですから、やはり投資が不可欠になるのではないかと思います。

そうはいっても、なかなか投資に踏み込めないという人は多いようです。

もともと日本人は、リスクを回避する志向が極端に強いのかもしれませんね。現に投資信託などのリスク資産を保有している人の割合も、他国と比べてかなり低くなっています。

その一方で、投資に関する環境はずいぶん変わってきました。投資信託にしても、手数料は以前と比べてかなり下がってきていますし、少額から購入できるようにもなっています。収入が少ない若い世代にも投資しやすい環境が整ってきたわけですが、若い人が中長期で投資をするのであれば、リスクもかなり軽減できるでしょう。

そうした若い人たちに興味を持ってもらうためには、もっと身近なテーマの投資信託があってもいいのかもしれません。例えばアジアの消費関連だけに特化したファンドなど、テーマの打ち出し方で若い人たちの見る目も変わってくるはずです。

あとは、旗振り役の問題もありますね。多くの若い人たちが、将来に対する不安を持っていることは確かです。投資は本来、不安に備えるために行うものですが、収入も減ってしまっている現状では、どうしても投資に二の足を踏んでしまう。そこに矛盾が生じているわけで、政策サイドが根本的な不安を払拭できなければ、そもそも投資どころではないということでしょう。だからこそ、真のリーダーが早く誕生してほしいと個人的には思っています。


※2012年6月11日時点の内容となります。

※このインタビュー内容は、個人の発言に基づき構成されており、投資信託協会がその内容を必ずしも保証するものではありません。