将来に対する具体的なイメージが投資にも必要でしょう

スポーツジャーナリスト中西哲生氏

1969年愛知県生まれ。プロサッカー選手として、名古屋グランパスエイトを経て、川崎フロンターレへ。2000年末に現役を引退。現在はTBS「サンデーモーニング」、テレビ朝日「GET SPORTS」などの番組でコメンテーターを務めるほか、TOKYO FM「クロノス」でパーソナリティーを務める。

中西哲生氏


まずは中西さんがサッカーを始めたきっかけから伺えますか。

実はもともと野球をやりたかったんですが、近所にチームがなかったもので・・・。たまたま同じマンションに住んでいた1学年上の友達がサッカーをやっていて、僕も同じチームに入りました。確か、小学校3年生の9月だったと思います。記憶はほとんどありませんが、公園の芝生の上で父親とサッカーをして遊んでいるような写真がありましたから、自然とボールには親しんでいたのかもしれません。

お父様は大学の先生だったそうですね。

はい。発生生物学が専門で、最初は名古屋大学にいましたが、その後スタンフォード大学を経て大阪大学の教授になったんです。ですから、高校生の時にはネズミの肺の細胞をスライスしてサンプルを作るアルバイトなんかもしていましたね(笑)。

ずいぶんアカデミックな環境に思えますが。

まったくそんな感じではありません。僕はほとんど勉強もしなかったですし、サッカーばかりやっていましたから(笑)。

すると、最初はまったくの偶然で始めたサッカーに、だんだんのめり込んでいったわけですね。

今でもサッカーが好きですし、やっていて本当に良かったと思います。例えばゴールの瞬間というのは90分間の中でせいぜい数回しかありません。しかも、対戦相手はもちろん、気象条件やピッチコンディションといった条件を考えると、同じパターンというのは二度とない。本当に奇跡的な瞬間なんです。そうしたさまざまな条件の組み合わせが無数にあることが、サッカーの大きな魅力です。

それはパターン化できないものなのでしょうね。

そうですね。ただ、そうした無数の条件の中から良い組み合わせを見つけ出すことはできます。しかも、それは単なる足し算ではなく、1足す1が2以上になることもあれば、それ以下になることもある。そうした組み合わせを見つけ出す作業はすごく面白いし、スポーツ以外のさまざまなものに置き換えられると思っています。おかげさまで最近は講演をする機会も多く、組織論などをお話しするんですが、それもすべてサッカーから学んだことが基本になっています。

中西哲生氏

その後、高校、大学とサッカーを続けられ、名古屋グランパスエイトに入団されるわけですが、プロという大きな決断をするのに迷いはありませんでしたか。

僕が名古屋に入団したのは1992年ですが、当時はまだバブルの余波が残る明るい時代でしたから、「駄目だったら普通に就職すればいい」という感覚だったのも確かです。まあ、今から思うとずいぶん甘い考えだったんですが・・・。

しかも、翌年の1993年にはJリーグが開幕します。

僕はまさにJリーグの1期生で、あのころは一番華やかでしたね。ただ、一方ではこのままこれが続くわけがないという違和感もありました。ついこの間までまったくお客さんが入っていなかったのに、一夜明けると5万人の会場が満員になっていたわけですから、これは普通ではないと。

同時に、プレーヤーとしては代表に呼ばれるレベルにないということは、自分自身が一番よく分かっていました。それは学生時代からずっと思っていて、同級生にも自分よりうまい選手がたくさんいた。常に劣等感を持っていたんです。ですから、選手としてのキャリアは早い段階で退かなければならない時がくると、どこかで考えていました。

父もそれは感じていたようで、僕がプロになった瞬間に「次のキャリアのことは考えておけ」と、まさに口を酸っぱくして言っていました。それは僕にとって有り難い言葉で、今でも感謝しています。ですから、選手を続けながらも、辞めた後のイメージというのは常に持ち続けていました。

そのイメージというのは?

サッカー選手というのはワールドカップのタームで考えるんですが、僕が実際に現役を退いた直後の2002年にまず日韓ワールドカップがあり、次の2006年までは解説者としてサッカーを専門に頑張っていく。次の2010年まではサッカーだけではなくスポーツ全般に守備範囲を広げ、さらに2014年までにはもっと幅広く社会全般についてコメントできるようなキャスターになりたい。そんなイメージです。今のところはほぼその通りに進んでいますし、自分でもできすぎくらいの感覚を持っています。


※2012年12月14日時点の内容となります。

※このインタビュー内容は、個人の発言に基づき構成されており、投資信託協会がその内容を必ずしも保証するものではありません。