お金に縛られないためにもやっぱりお金は大切です

経済アナリスト森永卓郎氏

東京都出身。1980年東京大学経済学部卒業。日本専売公社、日本経済研究センター、経済企画庁総合計画局、(株)三和総合研究所(現三菱UFJリサーチ&コンサルティング)主席研究員等を経て、現在は獨協大学経済学部教授。専門分野はマクロ経済・計量経済・労働経済・教育計画。ミニカー他、さまざまなコレクターとしても有名。

森永卓郎氏


依然として厳しい経済状況が続いていますが、森永さんは今の日本をどう思われますか?

あくまで個人的な意見ですが、日本はあえて「デフレを起こす」経済政策をとってきたように思います。これは先進国の中でも非常に特殊なケースで、その政策が切り替わった時には資産価格のジャンプアップが起こるでしょう。それはこれまで日本が経験したことがないほど大きなものだと予想しています。

いわゆる「ハイパーインフレ」が起こるということでしょうか。

インフレではなく、資産価格だけが急上昇します。1998年に韓国が似たような状況になり、株価は10カ月で3.6倍にもなりました。日本の場合は、それ以上のジャンプアップになるかもしれません。しかも、それが短期間に一気にくるのです。

そうなれば、資産価格の上昇によって、株や不動産をもっている人たちの「一人勝ち」になります。資産を「持つ人」と「持っていない人」とで、これまで以上に差がはっきりしてしまう。明確な格差社会になるのです。

それはかなりきびしい社会ですね

森永卓郎氏

とはいえ、他の先進国のことを考えれば普通なことかもしれません。例えばアメリカの上流家庭では、日本のように保育園の待機児童が問題になることはありません。なぜなら、子供は「ベビーシッターが育てるもの」という考えが一般的だからです。欧米では家庭にお手伝いさんがいることが当たり前で、ドライバーやボディーガードを雇っている人も少なくありません。いわば「階級社会」なのであり、このスタイルこそ、先進資本主義国の本来の姿だといえるでしょう。

日本も明治時代まではそうした階級社会で、例えば東大の教授であれば、毎日馬車がお迎えにきていたそうです。戦後の日本は一種の「社会主義体制」を作り上げましたが、今はその流れを弱肉強食の資本主義社会へもう一度方向転換させているように思います。

そうした「格差社会」から自らを守るという意味では、投資が有効な手段になるのではないでしょうか。

まさにその通りで、投資によって資産を増やせるかどうかで、次の10年の生活が決まると言っても過言ではありません。しかし、昨今のようなデフレが続く経済状況では、投資をしようにも「タネ銭」がないというのが一番の問題でしょう。チャンスが目の前にあっても、お金がないのではどうしようもありませんから。

そこで私は、「ハイパー節約」を提言しています。あるテレビ番組で、「夫の年収600万円で、1年間に500万円貯金した主婦」という人が登場しましたが、その人は自分のバイト代だけで生活し、旦那さんの給料やボーナスはほぼすべて貯金に回したそうです。それくらいの覚悟があれば、誰にでも元手は作れるのです。

お金が貯まらない人とは使った残りを貯めようとする人で、お金が貯まる人というのは最初に貯蓄分を取っておき、その残りで生活する人です。これがお金を貯める大原則ですが、やってみると意外にできるものですよ。

世の中には誘惑が満ちています。例えば通勤の途中に缶コーヒーを飲みたくなったり、喫茶店に入りたくなったりすることもあるでしょう。しかしそこをぐっと堪えて会社まで我慢すれば、コーヒーがあったりする(笑)。それができないという人は、やはりまだ甘いといえるでしょうね。


※2011年11月7日時点の内容となります。

※このインタビュー内容は、個人の発言に基づき構成されており、投資信託協会がその内容を必ずしも保証するものではありません。