カン・チュンド氏インタビュー

カン・チュンド氏。1968年生まれ。晋陽FPオフィス代表。CFP/1級ファイナンシャルプランニング技能士。日本で唯一のインデックス投資アドバイザー。2003年より「マネーの缶詰めスクール」代表講師を務め、一貫してETF、インデックスファンドを用いた投資を行うことを説く。自社セミナー開催回数は140回を越え、開業以来多くの顧客から資産運用、ポートフォリオ構築に関する相談を受けている。

ETFという言葉をよく見かけるにようになってきましたが、どのような金融商品なのでしょうか?

ETFは“Exchange Traded Fund"の略で、上場投資信託と訳されている金融商品です。商品の仕組みそのものは投資信託(ファンド)と同じですが、東京証券取引所など金融商品取引所に上場されている投資信託であるという点で違いがあります。

代表的なものとしては、日経平均株価(日経225)やTOPIX(東証株価指数)といった指数に連動することを目指すものがあります。また、債券、不動産、商品(コモディティ)、そして日本にはまだありませんが通貨を対象にするETFもあります。多くは指数に連動させますが、金や原油などの特定の資産価格に連動することを目指すものもあります。

ETFは、安いものでは1万円程度から投資できるので、少額から多様な金融資産に分散させることができます。個別の株式銘柄を売買するのと同じように株式市場で取引ができますし、信用取引も可能です。

etf、一般的な投資信託、株式の比較

ETFにはどのような特徴がありますか? 

カン・チュンド氏

ETFの特徴は大きく分けて4つあります。

まず、投資対象がシンプルでわかりやすい点。

次に透明性が高い点。日経225のETFを例にあげると、日経平均株価に採用されている225銘柄に投資をしているわけですから、投資先が明快です。運用会社の投資判断は基本的に行われません。

3つめは機動性が高い点。金融商品取引所に上場しているので、株式と同じように、取引所の立会い時間中、自分が好きな時に市場価格を見て売買ができます。

そして最後が低コストだということ。
一般的なインデックスファンドと比較して信託報酬が低いことが多いのですが、その理由は商品の仕組みにあります。一般的なインデックスファンドは、投資家から販売会社経由で運用会社が資金を集め、運用会社はその拠出されたお金で投資対象の株などを買います。また、投資家がファンドを解約する場合、運用会社はファンド内で保有する株などを売って販売会社を通じて投資家にお金を支払います。そのため、お金の出入りに合わせて運用会社が株などの売買を行う仕事をしており、売買にはコストがかかるとイメージしてください。

一方ETFでは、投資家から資金は集めません。例えば、代表的な株価指数である日経平均株価に連動することを目指すETFでは、日経平均株価に連動するように指定された複数の銘柄をパッケージにしたもの(現物株バスケット)を指定参加者と呼ばれる証券会社などが運用会社に拠出します。運用会社はそれを受け取ってかわりにETFを設定し、指定参加者に渡します。

ETFは指定参加者が証券市場を介して売りに出したものが、取引されているので、運用会社はファンド内の株式などを売買したり、お金の流れを管理する必要もあまりありません。そのため、一般的なインデックスファンドより信託報酬が低いことが多いのです。

日本や海外でのETFの普及の状況はどうなっていますか?

2001年にスタートした日本のETFは成長途上ですが、世界的にはETFの規模は急拡大しています。米国を例にとると1993年にETFが登場し、当初は普及が進まなかったものの、2000年代に入って大きく残高を増やすようになりました。

主要株価指数のETFはほとんど出そろっています。それに加えて米国ではファイナンシャルアドバイザーと呼ばれる、資産運用をアドバイスする人たちが積極的にETFを顧客に勧めるようになったことも普及を後押ししたようです。米国では、証券取引所の出来高上位10銘柄のうち、半数がETFだということさえあります。それだけ普及しているわけですね。

ETFに投資することのメリットはどんなところにあるのでしょうか?

少額から投資できるので入門者にとっては、まずは試しに取引をしてみるということが可能な商品だと言えるでしょう。

また、長期に分散して保有するという投資の基本的なスタイルにもあっています。

例えば日本株のETF、先進国株のETF、新興国株のETFという3つのETFを買えば、世界の株式に分散投資をしていることになります。世界経済が成長すればその成長の対価が利益として返ってきます。そして、その3つをどのような割合で買うかを自分の判断で決定できるのも面白いところです。新興国株式のETFを抑え目にする、或いはリスクはあっても新興国の成長に期待したいという方は新興国株のETFを多めにと、ETFの各銘柄の中から思いどおりに選択できるということですね。ETFは「(E)選んで、(T)楽しい、(F)ファンド」だとある証券会社の方が言っているのですが、まさに名言だと思います。

投資に慣れた人にとっても、米国株のETFや中国株のETFを個別の株式銘柄と同じように売買できるので、投資の幅やポジションが飛躍的に広がり、ETFのみを用いて非常に広範な分散投資ができるというメリットがあります。日本の個別株を保有している方が米国株はETFで保有するといった、面白い組み合わせも可能です。

ETFは入門者向けの金融商品だと思われがちですが、欧米では個人投資家が利用する一方で、投資銀行やヘッジファンドなどプロの投資家も利用しています。金融商品取引所に上場されているため、流動性が高く、短期トレードにも実は向いているという側面があるのです。

 


※このインタビュー内容は、個人の発言に基づき構成されており、投資信託協会がその内容を必ずしも保証するものではありません。